ZKB-2
Zenith
Data Systems
MFG'S E. I .A 343
MFD DATE August 1989
MADE IN TAIWAN
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IBM AT 84 Key がキーボードの王者
だとすると、 ZKB-2 はいうなれば 女王
といって差し支えないかもしれない。
大きさは BigFoot系とさほど変わらず直線を多用した形状は Northgate の Omnikey 101
と似通っているが
Omnikey のように ハッ
とさせるようなデザイン上の華やかさはありません。
Omnikey 101 がクリック有りのALPS SWであるのに対してと
ZKB-2 はノンクリックの ALPS
SWを採用しており、当方が入手したものは
いわゆる 「黄軸」+「緑軸」というものである。 軸によってけっこうな打鍵感の違いがあるようですが、私は
緑と黄の違いはあまり感じる事ができません。
要するに鈍感。
私は 鍵盤午訪斎
でこのキーボードのことを知り、紹介文を読むにつけ欲しくてたまらなくなりついに購入してしまったのですが、
このキーボードは
クリック派の私をして黙らせてしまう味わいがあります。
けっこう使いこまれたキートップはツルンとしていてこういうところは人によってはキーボードの評価を下げてしまうのですが、私はとても気に入っています。
私はこのキーボードに触れるたびに対極にある IBM AT 84
を連想してしまいます。
打鍵感はまったく異なり、
クリック音も無い、バネの強さもぜんぜん違う...。
IBM AT 84
のような主張というか個性というもは薄いかもしれませんがこれはこれで充分存在感を感じさせてくれます。
キーを押し込む時の動作を細かく分析できるほど敏感な指先でもないので分析はおいといて、とにもかくにもキーボード上に指を置いたときの感触が抜群に優れています。
AT 84 の豪快でいてまろやかな豊潤さと (
一般的には 硬質な打鍵感
であるといわれますので私の "まろやか"
という 表現を鵜呑みにしてはいけません
)はまるで異質ではありますが、このキーボードには安らぎがありそして打鍵感はなんというか
エレガントですらあります。
外見的にはOmnikey 101
のような目を引く部分は特にありません。
使い込まれているため一部のキーに黄ばみが認められますが、トップカバーはその後入手した
1987製と比べるととても良好です。
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Zenith
のロゴがポイントといえばポイントですが、それとてベージュの筐体の上にチョイと強めのクリームのプレートに金と銀であしらわれているだけなので、それほど「存在感」を主張しているという訳でもなく、全体としてはとても質素で見た目にはありふれた昔風のキーボード。
ロゴプレートの下には
AT/XT切り替えSWが隠れています。 |
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リニアタイプの
ALPS黄色軸スイッチ。
キートップは二色成型。
トップの表面は上質でしっとりとした感触。
ALT と SysRq
のみ文字に緑色が用いられています。 |
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盤面に状態表示のLEDはなく、
NumLockなどの緑軸使用の各キーのSWハウジングに埋め込まれています。
実はハウジング構造そのものは黄色軸のものも同じです。 |
2004.05.16 追加
スペースバー用のスイッチは軸色が異なっており本機
黄軸版の場合は 灰色軸が用いられています。
また、 1988以前の
総緑軸仕様では全てかどうかはわかりませんが所有機はクリーム色の軸となっています。
いずれもバネが他のデータキー用と異なり巻き数が一巻き分少なくなっており反発力が強くなっています。
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黄軸タイプZKB-2
のスペースキー
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灰軸のクローズアップ
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緑軸タイプZKB-2のスペースキー
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クリーム軸のクローズアップ
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製造年月は印刷というより型押しという感じ
( 単に薄れているだけかもしれませんが )。
画像では判別できませんが、
AUG 89' となっています。 |
このキーボードの一番のポイントは打鍵時の「滑らかさ」につきると思います。
外見だけなら先の書いたように Omnikey 101のような 華
というか
飾り気はなく無骨であってむしろ男っぽい部類にはいりますが、私はその滑らかさに気品というものを感じるわけで、これをもって
王者 IBM AT 84 に対して 女王 という次第です。
見た目と違う「優しさ」
と「気品」を感じさせてくれるキーボード、 それが Zenith
ZKB-2 といえます。
Omnikey
101のクリック や Apple、DELLなどの
ノンクリックあるいはソフトタクタイルより ZKB-2
の方が私には好みにあっているようです。 このスイッチは一応
リニアタイプに属するようですが、リニア系で比較すると
リアルフォース と Cherry MX の黒軸
の中間、ややリアルフォースよりといった感じのタッチに仕上がっており、リアルフォースほど軽くなく、MX黒軸のように重くないという、私にとってはとてもウェルバランスなタッチです。
APPLE Extended
のピンク軸というもはそうとうなものらしいのですがこれは触ったことがないからわかりません。
少なくとも打鍵感だけなら ソフトノンクリック白軸の Extended II は ZKB-2
には敵わない.....と断言しちゃいます。
褒めすぎも何なんでチッとだけ難点を....
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埋め込みLED
はそれだけで高級感を醸し出してくれるのだが、肝心のLEDは
SWの根元にあり、実は通常位置で打鍵しているときLOCK位置にあるのかどうかは覗き込まなければわかりづらい。
私は英語モードの時よくCaps Lock
を誤って押してしまう。
この点に関していうと、Apple Extended などの Lock機構付SW は間違えようがなくてよいかも。
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ZKB-2 に限らないかもしれませんが、もしかすると
SW
と基盤の取り付け部分はこの手のキーボードの泣き所かもしれない。
私が入手したものは
ハンダランドが一箇所基盤面から 剥離していた。
補修でなんとかなったが、実は友人が所有する
ZKB-2 がどうやら同じ症状を呈しているようだ
。(先方は 2箇所だと言っている )
この点(耐久性)に関しては モデル M や 5576-A01
の方が上かもしれない。
ケースの強度に関しては 同じALPSスイッチでも ZKB-2 や Bigfoot系の方が
5576-001/002 のよりは上ではないかと思います。
001/002系統はケースの強度がいまいち劣るのではないでしょうか。
スイッチ部は 縦/横
の配置の違いはあるものの接点からのピンが構造上基盤に直結しているだけに両者とも経年変化には弱いかもしれませんが、このあたりは基盤製造工程・技術で強度に差が出るのかもしれません。
おタクといわれようがミーハーといわれようが私は
PC/AT 84に始まる
M系の IBMキーボード そして
一連の5576シリーズが好きなのですが、これら以外に選べと言われたらそれは
ZKB-2 にほかなりません。 ( 浮気な私だから これは
2004.1月
現在 という事にしておこう、、、、
と逃げを打つ ^^; )
おまけ
1987製 初期のZKB-2
面白いことにLED窓付きの 緑軸
がすべてのキーに使用されています。
これは気まぐれという訳ではないようです。
ちなみに 鍵盤午訪斎の
AT 84
クローン も同様に総緑軸使用となっています。
尚 1987年 というと IBM
がそれまでのAT仕様から Intelligent 32bit BUS System;
Micro Channel Architecture による PS/2
に路線変更した年であり, 同時に Model M 1390401が
世に出た年でもあります( たぶん )。 現在の
キーボードのレイアウトの大元となった 最初期のModel M
1390120、
1390131はその前年,1986年に世に出ております。
してみると M
のレイアウトは瞬く間にキーボード界を制覇したという事なのでしょう。キーボードのキーレイアウトは
Zenith も含め 1987年製以降はほぼ全てが 「/
」位置あるいは「Enterキー」形状
の違いはあれ、モデルMのそれと同じですから。
2004.04.24 追記
ケース内側のLED用仕切り壁は軸そのものとは接触しておらず「軸を側面からサポートしている」わけではないようです。軸はケース内の軸のレール枠内で上下動しておりLED壁面とはクリアランスが保たれています。
黄軸・緑軸のスムースさは「タクタイルバネがない」ことに尽きるのではないかと思い直しています。
他のクリックタイプもタクタイルバネを抜いてしまえば
黄軸や緑軸 ととてもよく似た感触になります。 ZKB-2
の場合はキートップそのものも打鍵時の滑らかさに大いにを貢献していると思います
( ZKB のキートップは SILITEKあたりと比べてグラつきがありません
)。
緑軸の一部 (QWERTERS の K..Tanaka//さんによればもしかすると
オレンジ軸の一部も )
には同じ緑軸スイッチとは思えないカサカサの取れないできそこない
がありますが、これは 軸
の型そのものおよびスイッチ用板バネが他と異なるようで、この例外品を除けば
ALPSリニアスイッチはスムースさに関しては比類のないものです。
ZKB-2のほかにはマルチステーション用の5556以外にこれらのスイッチを採用している機種はみたことがないのですが、MouseFanサイト
によれば
AXキーボードなどでは数種類存在したようです。
緑軸
の外れ品のように黄軸にもできそこないがあったのかどうか気になるところです。
2004.09.04 追加
Mitsumi
Switch Version
スイッチがミツミ白軸リニアタイプに変わっている。
キートップはALPS版と同じ物が用いられているがスイッチのリード配置はALPSと異なるので基盤は別物。
数値キーバッド部分のEnterキーキートップが紛失していることと、AT
PLUGが壊れていることを承知でミツミスイッチを見てみたくて購入したが、ALPS系キートップがそのまま使えるのでケーブルのプラグ部分を修理すれば生き返りそう。
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外観はそのまま。裏面のラベル表示は
ZKB-2 |
キートップを抜いていたら、
2個のキーは軸・金属カバーもろとも抜けてしまった。
ついでなのでスイッチを抜き取ってみることにした。
カバー共々も抜けた軸をキートップから引き抜こうと格闘していたら、外れたとたんに左手親指に金属カバーがザックリ突き刺さってしまった。
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キートップの突起が入る部分が mousefanサイトの緑軸と異なる。
他にも微妙に異なる部分がありますが、
緑軸版とほぼ同じです
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ミツミロゴが底面と同じくカタカナ
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突起のつき方が緑軸と異なる
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カムの部分に樹脂パーツ無し
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可動接点の形状が緑軸と微妙に異なる
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幸いなことにカバー取り付けの細い足ではなくミツミロゴのあたりが指にザクッと入った。
細い方だったらもっと深く突き刺さったと思う。
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軸が戻る時に金属カバーにあたり硬質な音が出る。
軸のブレもALPSより若干大きくキートップに指を乗せた時にややグラグラした感じがあり、連続打鍵ではキートップとケースカバーがぶつかってチャラチャラした音が響き、質感を損ねている。
軸の上下動はなかなかスムース。
キーボード自体は1990年3月製造なのだが、
キートップはALPS系と供用していながらスイッチそのもののリードは配置がまったく異なるため基板は当然別物となっていて、ミツミスイッチをわざわざ選択した理由が今ひとつわからない。
尚、同年8月製造で Packard Bell NEC製の ALPS黄軸採用の緑樹ロゴモデル
というのもある。
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