UNDERWOOD 
UNIVERSAL

Model No; unknown
Manufacturing date ; unknown 

Product of
UNDERWOOD ELLIOTT FISHER CO.
Made in U.S.A

 

小学校の5年の時、転入生がやってきた。  いわゆるやんちゃ坊主でいうなればガキ大将といおうか。明るく楽しい親分肌のその転入生の持つ自由奔放さに惹かれたのだと思うが、私は彼と大の仲良しになり授業が終わるといつも一緒に遊んだ (遊んでもらったのかもしれない ) 。  その友人は 6年生に進級するとき家庭の事情で島を離れて転校していった。  それ以来合うこともなく 文通もいつのまにか途絶えてしまった。
大学2年のある日その友人と偶然に再会した。  小さな地方都市なので街をうろついていればそういうことも大いにありうるわけで...。  いろんな事情があって大学浪人中のその旧友との奇妙な共同生活がはじまった。 彼の自由奔放さは中学・高校と成長とともに 大いに増幅されたようで、8年間の積もる話を聞くのも実に楽しかった。  いきさつは忘れたがその友人から 古めかしいタイプライターを譲り受けた。  半年位で共同生活も終わり彼はまた私の前から姿を消し、それ以来会っていない。
当時 萩原健一 主演の「風の中のあいつ」 という 清水の次郎長の敵役 「黒駒の勝蔵」 を描いたTVドラマがあったが、まるで萩原健一演ずる「黒駒の勝蔵」のように風のごとくやってきて風のごとく去っていった忘れられない友人である。

譲ってもらったタイプライターは レポート作成その他で大いに活躍し、大学を卒業した後も手放すこと無く大事にしてきた。 仕事の都合で幾度かの転勤・転居があったが粗大ゴミとなることもなく棄てることのできない 「宝物」 の一つとして保管している。 

20年ほど前に痛みのひどかった外箱は元の箱を参考に自作した。 が、出来上がった箱 に収めた後はそのまましまいっぱなしになってしまった。  品物自体は 1960年代中期の物と思われるので、 *1 それほどの Vintage 品ではないのだろうけど、なぜか棄てることができないまま今日に至っている。  少年期 と青年期の思い出が詰まったこのタイプライターを20年ぶりに引っ張り出してみたところ、メッキパーツはかなり錆びが進行していた。いつの日か完璧にレストアしたいと思うのだがいつになることやら.....

  *1  知人の間で評判が良いのでネットで検索してみましたところ ペーパー フィダー部分に記載されている UNIVERSAL  と
       いうのがシリーズ名のようで、 こういうの が引っかかった。  たぶん UNIVERSAL PORTABLE というのではないかと
       思われる。
       リンク先のページによれば なんと 1930年代中期の製品のようで初期バージョンは ブラックエナメル だということなの
       で所有品は初期バージョンということになるらしくけっこうな ビンテージ品である。  

 

いわゆる QWERTY 配列であります。

全てのキー動作は問題ありませんが、印字するHEAD部分の定位置に敷かれているフェルトは経年のため凸凹です。

動作をしっかり検証したわけではありませんが HEADが紙面に当たる直前に ”カチッ” というクリック音を発します。
タイプライターの使用法はすっかり忘れてしまいましたけど、本機の場合は 数字の [ 1 ] は アルファベットの [ I ] と共用のようです。 [ @ ] は下から2段目の右端にあります。
シフトキーはけっこう重く、紙を巻きつけるゴムローラー部の機構全体を持ち上げるようになっています。

残念ながらメッキパーツはごらんの通り錆びています

また、ペーパーローラー回転用のノブは半分 欠けてしまってます。
これは多分私が持ち運びの際に落として壊したのでしょう。

 

尚、画像はありませんが後方のゴム足は経年のために溶けかかったようにつぶれて変形してしまっています。

ペーパーフィダー部分のロゴ

ボケボケ ^^;

こちらは本体背面部分に記された身分証

型番とか製造年などの記載はない。

多分元箱の方にプレートかなんかがあったのだと思う。

タイピングのタッチを調節する TOUCH TUNING レバー。

Low Pressing Force から High まで5段階調整が可能。

久しぶりに開けたときは3段目にセットされていました。

これで Buckling System 何のそのという指先に仕上がった.....ということはないか。

その後 会社でブラザーだかオリベッティだかの電動タイプライターを使用した時、とても軽いので感心した覚えがあります。

細部の精度とか仕上げは誉められたものではないが、20年も前の工作にしてはけっこう頑張ったものだと我ながら感心している。
 
ラワン材の棚板を使って格子組みで上下の箱をこさえて、尚且つ上下の合わせは 凸凹 で嵌るように作っている。
タイプライターそのものがかなりの重量物なので隅の部分はちゃんと隅木までとりつけてたりして...多分元箱がそういう構造だったのだと思います。

水性ラッカー仕上げの塗装は誉められたものではなく明らかに失敗。

このサイズだと錆びも目立たず なかなかの美形

 

 

 

Le Grand Meaulne

なぜかこのタイプライターを観るたびに連想する。
かの友人はいろんな意味で私にとっての Meaulne なのかもしれない。

 

ちなみに Le Grand Meaulne は 日本では 「モーヌの大将」というわけのわからんタイトルで紹介されている、
アンリ アラン フルニエというフランス人作家 の小説です。

残念なことに私は日本語訳の小説を読む前に ブリジット フォッセイ( 「禁じられた遊び」 の主人公の女の子 )
がヒロインを演じた映画 「さすらいの青春」 を観たので、どうも映画の印象が強すぎて 翻訳本の方にいまひとつ
のめり込むことができない。 なにしろ 「モーヌの大将」 というタイトルがヤボすぎる。

映画はというと 幻想的 かつ詩情あふれる作品で、ソフトフォーカスでどこととなくモヤがかかったような映像が
幻想的な内容を一層盛り立てており、若き日の私の心に深く焼きついたものでした。

この映画の DVD あるいはビデオなどがあれば是非入手したいものであります。

というわけのわからん 森下タイプライター レビューでした。

2005.04.30
2005.05.03 加筆・訂正

 

 

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