8801キーボードの中でもかなり古い部類に入るのではないかと思われます。
NECの8801、 あるいは 9801
そのものについてはまるで知識がありませんので、どういうモデルで使われたのかさっぱりわかりません。
PC-8801キーボードは ALPS
の青軸スイッチが使われているという事だったので全てがそうなのかと思っていたところ某オークションでメチャ安のまま放置されていたのをいい事に買ってしまったものです。
届いてビックリ青軸は青軸でもいかにも古そうな、そしてまずALPSではあるまいというスイッチでした。
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盤面右上のロゴ部分です
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キートップを抜いてみると |
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なかなか美しいブルーではあるのですが...けっして
ALPS ではない。
台座部分はなんとなくレトロな感じ。
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トップの形状はかなり独特でもしかすると
MouseFanサイトの
これ
と一緒かも;しれません。
肉厚の2色成型でその点はよいのですが....NECのキートップはとても焼けやすいと思う....
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キートップは上に向かって絞り込まれていて加えてトップは丸くくぼんでいますので指先が正しく乗っかっていればそれなりに心地良いのですがちょっと中心を外れると違和感大です。
計測したわけではありませんがストロークが浅く感じられます。
キーの底突きはとても明瞭で分解してみたところスライダ底部がケース底面にあたる事によるそれこそ文字通りの底突き音でした。
潤滑処理がされていないのか、あるいは長年の間にそれらの効用は吹き飛んでしまい
「埃」 と
もしかすると「偏芯した軸」ゆえに丸軸がこすられたことによる磨耗のせいかかなりガサついた軸動作でキーボードのスイッチとしては
" この個体の場合"
あまり感心できません。
英絶オヤジサイト
では 同種のスイッチを採用した 初代9801キーボード
を "9801のコレクター以外は決して手を出してはいけない代物"
として同サイト分類の
「決して使用するべからず編
」で紹介していますが、キートップが普通でないということに加えて、このスイッチ自体が経年変化に弱いということなのではないかと思います。
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厚めのプラスチックで焼けやすいという事は別にしてコストはかかっていると思われます。
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左上に見えるのはアース線でもしかすると
モデル M より太い。
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鉄板の取り付けは頑丈なネジで、
ネジ受けの方は古きよき時代を思わせる金属のスリーブが埋め込まれた構造。
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ケーブル接合部
なんでこんなに信号線が多いのでしょう |
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スイッチ取り付け鉄板は上下が立ち上がった
コの字型で、厚めのプラスチックと共に頑丈なボディを形成しています。
空気が多いともいう
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上から
IBM PC/AT 5170鍵盤のケーブル
PC-8801 のケーブル
IBM モデル M のケーブル
PC/AT 用が奥にあるため小さく見えますが実際はそこそこ太いケーブルです。
それの 1.5倍はあろうかと思われる極太のカールケーブルです。 |
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ケーブルが太ければ プラグもゴッツイ
モデルM ケーブル先端のPS/2プラグと並べると
デカサがよ~くわかります。
8801はモデルによってキーボードコネクタにいくつか種類があったのでしょうね。 |
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本体後部にチルト用の足は無く底部ボディ両サイドに傾斜を持たせて足として本体そのものの後部を持ち上げています。 |
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NEC
88 Switch ( 実は SMK の旧型リニアスイッチ.....かもしれない )
NEC 88スイッチ
なんて見出しにしましたが、
初代PC-9801でもこのスイッチが用いられています。
初代でこのスイッチが採用された後は後期のメンブレンタイプが出るまでの前期、中期
の9801では同じリニア系統ではあるもののかなり進化したスイッチが用いられるようになりました。 ここでは便宜上
88スイッチとします。
88スイッチはALPSスイッチのように上部ケースを簡単に取り外すという事はできません。
基盤裏からハンダを吸い取ってスイッチユニットを基盤から引っこ抜く必要があります。
後の 9801用
NECスイッチと違って焼きリベットは用いられていませんのでユニットを取り出しさえすれば内部にアクセスすることは可能です。
(
ケース両サイドにロックリリース用の爪があります。
この爪は金属プレートへの固定用爪も兼ねているのですが、残念ながらオンボード状態ではこの爪をケ-スが引き抜けるだけ広げることができません。
このスイッチは底面にNECのロゴがありますが実際の製造元は SMK
ではないかという見方があります。 他にも Maxi Switch リゴ入りのまったく同じものがあったりするようです。
不確かな情報ではありますが残しておきます。
情報元 SMK
Vintage Linear @ Deskthority.net
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軸先端がキボード上部に向かって傾いています。
接合部は変形十字です。
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キートップを取り付けるとかくも傾斜した不思議な形になります。
スイッチそのものは盤面全体がチルトした状態になりますからキートップは水平に近い配置になりますが、軸の上下動中心と指先の力点がズレる状態は合理的な造詣とは思えません。
が....この違和感もピッタシ指先を合わせていると変にクセになりそう。
でも決して高速タイピング向きではない。 |
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NEC製の証、 旧NECロゴがユニット底面にあります。
上面にもスペースはあるのでそちらに記しそうなものですが.... |
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さてそれでは
両サイドの爪を押し広げてそ~っとケースを抜いて見ましょう。
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かなり大径のバネです。 |
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こちらは ケース下部 |
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上部ケースです
手前側に 接点用プレート(
基盤取り付けピン付き )が納まります。
反対側は軸の上下動サポート部という事になります。 |
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接点部の部品はたったこれだけ。
裏表の画像です
右側の接点はバネになっており、スライダの突起が接点バネの突起に当たり接点が壁側に押されて軸が上にある通常時は接点オープン。
スライダが下がってバネが戻り接点クローズ。
構造的に お~ すごい! という点は 無い...と思うのですが..
SMKのスイッチも構造的には同じですね。
SMKの場合固定側は丸い軸状で可動側接点部は羽のように切り込みが入っています。
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可動接点部
通常はスライダの突起が接点バネの凸部を押して接点をオープンにしている。
これも接点部は金メッキかどうか知りませんが何がしかの処理が施されている。
固定側も上の画像でわかるように接点部は金色に処理されてます。 |
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上:本スイッチのバネ
下:9801 黒軸スイッチのバネ
黒軸用スイッチはやや粗いつくりだと思ったのですがこちらのバネは両端処理はかなりまともではあるもののなんとなく
「精密部品」 という趣に欠ける。
これはひとえにデカサ故だと思います。 |
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軸接合部の傾斜がよくわかります。
左側突起は上下動のガイド
右側が接点開閉用の突起
98シリーズ用のNECスイッチスライダと異なり、なだらかな台形になっている。
フッ素系の材質だと思いますが耐久性に劣るようで円筒部はかなり傷がついています。 |
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軸上面
変形十字の様子 |
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このキーボード以降の8801シリーズでは(
一部を除き....mkII にFUTABA
らしきものが使われている。 SPARCさんのサイトを参照ください
) このNEC内製丸軸(実際はSMKによるOEM)が
ALPSスイッチに、そして次世代のPC-9801では初代を除き楕円軸
98スイッチに置き換わるわけですが、 88スイッチと
98スイッチにはほとんど共通点が無いように思います。
他の
8801シリーズでALPSスイッチを採用したことによってスイッチのあるべき姿をNECの技術陣がALPSに学び
98スイッチを作り上げたという事なのかな~と思います。
あるいは 両社 で技術協力があったとか...
MouseFanサイトの TOSHIBA HX-10D MSX
を見ているとそのように思えます。
分解しているうちに「手を出すべからず」というご忠告の
初代 PC-9801キーボードをなぶりたくなりました。
処分をご検討中のかたどうぞご連絡ください
^^; 2004.03.30
2013. 02.
13 スイッチそのもの製造元はSMKであるらしいことを追記。
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