Enhanced
101 Key, Model M
P/N 42H1292
Date 11-11-96
Buckling Spring Technology
Membrane switch
Fixed strait cable, PS/2 Plug
Two piece key
top
Weight; 2.0Kg
made in United Kingdom by IBM U.K., Greenock .
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雨にさらされていたという 42H1292
一見さほど問題無さそうだが..... |
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外見上の大きな違いはLED表示部分が白地で且つ外枠が無くやや淡白な印象。
ケーブルは直出しで
LED下の基盤から最短距離で引き出されている。
キートップは二重構造で排水口はあるがプレート上の排水路は省略されている。
筐体プラスチックは1391401とほとんど同じだが若干軽いような感じ。
本体重量 2.0Kg で 初期1391401より 200g
軽くなっている。 しかし旧型同様
汚れ・焼けには強く、入手時はやや悲惨な状態だったがチョット手を入れると
他の M 同様 外見だけなら
未使用品で通ってしまいそうなくらい美しくなった。
本品はそもそもあまりの酷さにゴミ捨て場から
レスキューするのを止めたと、いう
一旦はキーボードとしての存在を否定された品ですが、
スペースバー とコントロール基盤欲しさに
無理言って 「拾ってもらった」 という
曰くつきのキーボードであります。
送っていただく際に少し汚れを落としたという事で拾い上げた時はもっとすさまじい様相だったようであります。
この場を借りて 拾っていただいた
Mac使いさんに御礼申し上げます。

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かなりしつこくこびりついた
汚れ |
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画像では上下ひっくり返した配置だが、
画像右側部分( 本体セット時
右側の数値キー部分 )
は赤錆が出ている。
プレート中央部分も腐食が始まっている。 |
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アクチュエータープレートの汚れ具合...というか
雨でかたまった埃。
しかし問題は埃ではなくて
中央部分に見えるアース。
ケーブル上端のボケた部分をスペースバーにセットするようになっている。
プレート裏側はご承知のようにスチール製 |
全てのキーを抜き取った状態で試し打ちしてみたところ、スペースキーが反応しなかったり、
勝手に走り出したり
と、まるでメンブレンにゴミが入っているかのような様子だった。
加えて 数値キー部分の [ 2 ] 、 [ 3 ]、[ ENTER ]
のスプリング根元に錆びが発生しておりハンマー並びにその下のラバーシートあたりまで茶色く変色していた。
さらに具合が悪いことに通電の度にまともな場合と
「私は誰?」 状態があることで、時には LED
が脈絡無く点灯したり、キーを1個打つと勝手に走り出したり...
これは埃や水分が原因かもしれない。
ジャンク 1391401
を分解した結果、プレート部分はリベットを削りとってもネジ/ナット
でなんとか修復可能と思われたので、キーが全て揃っていて
尚かつ
コントローラー基盤が他の
M に流用がでいきない当機を再生する事にした、......そもそも、本機を拾ってもらった理由はスペ-スバー、左SHIFT、コントロール基盤
を他機に流用するという事だったのですけど....。
で...再生した

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一風呂浴びてきれいさっぱり |
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上;;本機のスペースバー、
下; 1391401 やらその他
アースが付いている点と
センターの軸部分が異なる。 本機の場合
アクチュエーターを覆う丸い外側の鞘が無い。 |

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本機のスペースバー
クローズアップ |
1391401 など |

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穴があいてるだけの排水口 |
簡素な造りのケーブル引き出し口 |
コントロール基盤 P/N 11A0162 |
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こんなにチッコイ
コントロール部
(
画像はCHIP番号を読みやすくする
ため上下をひっくり返しています
)
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メンブレンシートと圧着させる接続方式。
( 掃除前の画像なのでちょっと汚れてます
) |

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淡白な印象の LED 表示部 |

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細かい表記は下のようになっている
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外見はけっこうまともになった
42H1292 |
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オークションで Model M の
「 美品」
という謳い文句はあまり当てにしないほうがいい。
よほどのことが無い限り、 Mは少し磨けば
たちどころに 美品 になる。 |
内部プレートの再生
通電の度に 私は誰?状態になったりするので
メンブレン内に埃と水分が紛れ込んでいるのではないかと勝手に想像して開けることにした。
先立ってとてもジャンクな
1391401を開けてみて、リベット台座部分をうまく使えばネジによる再生が可能である事を確信し、本機の鋼板裏リベットを全てカッターで切り落とした。
鋼板を剥がす際に誤ってメンブレンのパターンを3箇所削り落としてしまったがこれは銅箔テープでなんとか再生した。
挙動がおかしくなるようであれば
コンダクティブペンとかいうのでやり直そう。
昔は車の補修用品で リアシールドの「熱線補修剤」
なんてのがあったのだが最近はないらしい。
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ラバーシート、メンブレン3層を貫通するリベット。
鋼板の穴からでた部分で焼き止めされており、焼き潰された頭を切り取ると再利用する事は出来ないため、
メンテナンスの観点では具合が悪い。加えて焼き止めの頭部分は意外と弱いようで、ケースを開けると既にはがれていたりする。
このベース部分にネジ穴をあけようという訳。 |
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使用したネジ2種類。
右; 2 x10mm 中2列
に使用
左; 2.6 x 8mm 外側の列に使用。
中央部分はシリンドリカルに反った鋼板に取り付けるため、この部分をしっかり止めれば
外側は押さえ程度で大丈夫 (
構造上は、という意味。
打鍵感の観点では 固定部分は多いほど良い
) |
2004. 07.17
追記
タッピングビスは長さ
6mm品だとプレート表面が僅かに盛り上がるだけでビスの先端はプレート表面にでません。
4mmだと短すぎて締め込み不足になるのではないかと思います。 以上は鍋蓋タッピングの場合 |
穴開け
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中央2列は一番力がかかる部分なので貫通穴にして
ビス/ナットで止める。
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全てのリベット部をネジに取り替えると,メンブレンをセットする際に位置決めが困難になるので
その点を考慮して1列に付き4箇所を目安に
リベットをニッパで切り落とす。
全てのスタッド(リベット) 部分を
初期状態と同じく保つためネジで固定する方法は一番下のほう
もう少しまともにやる
を参照。
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根元はカッターで平坦にしておく。
またドリルの歯が逃げないように
キリでガイドを作っておく。
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でもって電動ドリルで
穴をあける。
中央2列以外は貫通させなくてもよい
組み立て方法
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アクチュエーターパネルにスプリング付きハンマーを全てセットする。
ラバーシートを被せる。
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3層のメンブレンシートをリベットポストにあわせて正しくセットする。
この作業を楽にするためにも、元のリベット部分をある程度残しておくこと。
(
後でわかったことだが残しすぎ....言い換えれば固定ネジが少なくなるという事...は打鍵感の観点からはよろしくない
)
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底部鋼板をあてがいリベット位置をあわせる。
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中央2列のうちどちらかに鋼板側からタッピングビスで3個程度仮止めする。
これで全体がしっかりするので
作業中にハンマーが定位置からずれたりしなくなる。
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ビス/ナットでもう一方の中央列をしっかりと固定する。
私はビスを表側から通し、鋼板側でナット止めした。
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仮り止めした
タッピングビスを ビス/ナットでしっかり止める。
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その他の穴は鋼板側から
タッピングビスで締めこむ。
なお、これらの穴はドリルで開ける際に貫通させない方が良いかも。
手前側で使用するタッピングビスはできれば皿ネジの方が良いのだが、今回は2.6mm径で皿ネジを見つけることが出来なかった。
鍋蓋だとごく僅かではあるが底板に干渉してしまう。
ビス/ナットの部分はそのままでは下部キャビネットと干渉するので組み込み前にナットからはみ出た部分をニッパでカットする。

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鋼板側からのタッピングビス。
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表側はこうなる。
先端がほんの少し表側に出るが気にしない。
先に訂正したように
長さ6mmのタッピングビスを使うと先端は出ない、 |

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表側から鋼板側に通したビス/ナット
( 中央部分 2列 )
ナットからはみ出た部分は切り落とす。 |

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同じく表側
少し締め込みすぎたのかプレートに歪みが見られる。
( これは成型時の歪みでした )
締め込みすぎるとBuckling spring もやや直立気味
(特に動作に影響はない) になります。 |

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鋼板は耐水ペーパーで錆びを落としてシリコンスプレーで防錆処理。
この際防錆塗装しようかと思ったのですが時間がないので適当に..... |

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手前3つ;
錆びたスプリング
逆向きの1個; まともなジャンク M のバネ
(まともな ジャンク ... ??)
尚、スプリング・ハンマーは全て
ジャンク 1391401 のものと取り替えました。 |
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上半分はまともなラバーシート |
波打った下半分。
錆びがこびりついたりしている。 |
ラバーシートの下半分の波うちがどういう影響を及ぼすのか不明。
まるで問題ないのかもしれないが、少なくとも錆スプリングの錆びがこびりついたりしているので、真っ平らなジャンク1391401のものに取り替えた。
(穴位置はピッタリ)
またメンブレン部にも雨水は染み込んでいたようで、導通パターンを剥がさないように注意しながら無水アルコールで汚れを落とした。
注意点
42H1292のアクチュエーターパネルには用途不明の小さな穴がいくつか開いているので、表側からネジを入れるとき(中2列
)
開けたつもりで開けてなかった等と勘違いしてドリルを不用意に使わないこと。
一箇所やってしまったがメンブレンにパターンの無い部分だったらしく幸いなことに動作に影響はない。
ラッキー
42H1292は防水性に難有りで、プレート上のスペースバーのスタビライザーロッド支持部分左右2箇所に穴が開いておりこの穴はプレート裏側で枠で囲われているとはいうもののここから回りに染み込むのは間違いないと思われる。
また先にも書いたように用途不明の小さな穴がプレートに開いておりここからもラバーシート側に水が漏れてしまう。
ま〜
ゴミ捨て場に雨ざらしなる状態での防水性は考慮してないでしょうから、通常の使用では大丈夫かな〜
それにしてもスペースバースタビ支持部分の穴は気になる。
再生後の状態。
まともな 42H1292
を知らないので比べ様がないが、ネジを均一に締めこむことが肝要であると思われる。
そのためには全てのネジを
ビス/ナットに取り替えた方がよいと思われる。
加えてガイド用の
ピンの数はなるべく少なくして多くのポイントでアクチュエータープレートを鋼板に止めることが望ましい。
再生品は
上矢印キーの響きが少し品のない音になってしまった。
60個もの固定用リベットを半数以下のネジで代用したのでいたし方の無いところか....
もうチョット固定箇所を増やすべきであったと思う。
Space Saver 84Key や
未だに高価な 5576-C01
も同様に修理が可能だと思われますので、コヒーを飲ませてしまったりした
M系の中でも高価なキーボードは棄てたりせずに再生にトライしてみましょう。
もう少しまともにやるには....?
( 2004.07.17 現在)
打鍵感の観点から固定箇所は多いほど良いと思われたので最前列を除いて元の固定位置全てにネジを使用してみました。
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焼きリベットのスタッドは全て根元から切り取り
2mmのネジ穴を開ける。
ナット止めする部分のみを貫通穴として、それ以外は貫通させない。
シート位置決めのため4隅部分も貫通穴とする。
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つま楊枝を適当数用意して
スタッド代用とする( 10本もあれば十分かも) 。
昨日13日は全てのスタッド部分に爪楊枝を差し込む、と書いたがよく考えてみたら
全てのスタッド部分に爪楊枝を立てる必要はないし、数が多いほどシート、プレートを合わせるのが面倒。
位置決めができればそれで充分。
2004.07.17 追記
爪楊枝は必要ない。
8mmもしくは10mmのネジをプレート表面から10本程度ネジ込んでおき、それをスタッド代わりにする。 |
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メンブレンシート、ラバーシート
の位置固定用の場所を決めて、その部分にプラスチックプレート裏側から
爪楊枝を差込み、ガイド代わりにする。
メンブレンシート、ラバーシートの位置固定用の貫通穴にプレート表側から
8mmのネジを立てる。 このためにもネジ穴は一発で開けるようにする。
うまく穴を開ければ緩すぎてネジが落ちるという事は無い。
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立てたネジをガイドにして、ラバーシート、メンブレンシート,スチールプレートを重ね合わせる。
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中央部分を数箇所
タッピングビスで仮止めする。
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四隅近辺をタッピングビスで止める。
これでかなりガッチリする。
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開けた穴にあわせてネジを適当に使い分けながら締めこんでいく。
大方終わったら最初に仮止めした中央部分の仮止めタッピングビスをネジ・ナットで締めなおす。
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ネジはできれば皿ネジにする。 鋼板がわの穴は大きめななので皿揉みする必要は無い。
皿ネジが入手できなければこの際
頭部分を底板と干渉しない程度に削りこむ。
2列目、および今回は放置した最前列はできれば皿ネジのタッピングビスにするとよい。
皿タッピングは3mm径までが一般的に流通しているようで秋葉のネジ屋では2.6mmの皿タッピングは見当たらなかった。
私は2列目のネジは皿ネジにして鋼板側から通して表側でナット止めにした。
尚、表側にナットを使用してもトップキャビネットと干渉することは無い。
これで元と同じ数、箇所
でプレートを固定できる。 締め込み具合で微妙な音のコントロールもできる(
と思う )
私の現在の42H1292は
最前列; ネジとめ無し ( 元のスタッド
をそのまま残してある )
2列目 ; 皿ネジ 10mm
を鋼板側から通し、ナットは表側。
3列目 ; 2.6mm x 6mm タッピングビス
を鋼板側から
4/5列 ; 2mmm x 8mm 表面から通し、
ナットは鋼板側
その上 ; 2.6mm x 6mm タッピングビス を鋼板側から
となっています。
2004.07.20 追記
Fujitsu PEERLESS
系のキーボードはバネ機構を除き同様の構造ですが、30本近くのネジでアクチュエータープレートが鋼板にネジ止めされています。
本セクション構成、他の作業は全て内部プレート再生後の
42H1292を用いております。
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