勘違いをしたわけではなく
まっとうな マルチステーション
5550シリーズ 専用キーボードであって
AT以降で使用不可能 という事を承知で入手しました。
ALPS スイッチとは聞いていたものの角軸系なのか板バネ系なのか確かめたかったという事が購入の一番の理由ですが、入手目処がついたのとほぼ時を同じくして
Mousefan サイトで正体を知ることはできました。
そして
P/N違いの2品が同じ日に我が家にやってきました。
こちらは ひらがな配列 です。私は
マルイステーションに関する知識はありませんのどれがどれやら分からないのですが、
この鍵盤のレイアウトは 4型( 47773178 )より 5576-001
に、そして 3479 でいうと JA1
に酷似しており、ひらがな配列である事、大型ENTERキーである事から
5556001 すなわち 1型 なのではないかと思います。
こちらは 4773178
と異なり全てのキーが緑軸ですが、カサカサ感は一切なく全てのキーがとてもスムースです。
4773178
との比較ではややバネはやや重めに感じられます。
ZKB-2の
黄色と比べると若干硬めというところでしょうか。
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LED枠を持つ 緑軸スイッチ
本機の場合全てのスイッチが緑軸です。
Zennith ZKB-2 の黄軸
あるいは緑軸版と同じく、とてもスムースです。 |
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本機のスイッチ内部
スイッチ部を構成する部分は一般的には白い樹脂製のパ−ツが用いられているが、
入手した
4773313はグレーの成型品となっています。
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上: 4773178
下: 本機
スプリング部で1条分長くなっています
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5576-001より総じて軽いと聞いていましたが、軽く感じるのは板バネのクリック並びに反発が無いためであって実際の押下げ圧は
001
と比べると「ちょっと軽い」というところではないかと思います。
こういうときにSPARKさんのように測定器で実際に測定できればより正確な事がわかるのですが...
尚、同時に入手した兄弟機
の 4773178( 5576 4型鍵盤
)の方は一部のキーに黄軸が用いられており、メインのキーは緑軸となっています。
4773178の黄軸の部分は問題がないのですが何故か緑軸キーは全てのキーが明らかに打鍵時のスムースさに欠けており、通常の緑軸とは異なるようです。
この件については こちら
をご覧下さい。
4773178 全てが 緑軸 と黄軸
の混在というわけではないようで、一部の製品で混在しているようです。
2004.02.04
4773313 そのものも 黄軸
を採用したモデルが存在します。
上で紹介した
4773178と異なり、こちらは総黄軸で軸動作はスムースです。
尚、
スイッチアッセンブリの樹脂はよく見かける白いタイプです。 |
ATの世界でも
ノンクリックはクリック系に駆逐されたわけですが、
日本IBMも次世代 の5576ではこの ノンークリック
ALPSを棄てて、板バネによるクリックタイプの導入へと変わりました。
ひとつの方式に絞るのではなくなく
二本立てでやってもよかったのではないかと思わせるほど、4773313
の打鍵感は優れていると思います。
細部を見てみましょう
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キートップの感触はしっとりとしていて指に吸い付くような感じ
(オタク度100% ですので割引必要 )。
TOP表面積が小振りにできていて小柄な日本人の指を意識したのかと思ってしまいます。 |
そして、なんと発見してしまいました。
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[F] 、[J] の深い曲面による
ホームポジション指定はもしかすると この5556
が先駆者なのかも知れない ( ...
他に古いキーボードをあれこれ知っているわけではないので間違っているかもしれません...
)。
少なくとも CHERRY
の専売特許ではなかったのです。
加えてキーの安定感は私が 002、A01
以外で初めて愕然とした ZKB-2
を上回っています。
同じスイッチでもキートップの作り方で感触に違いが出ることを顕著に示しており、日本IBMの鍵盤のキートップはその後の5576といい、いずれも秀逸であることがよくわかります。 |
褒め言葉が続きますが、このキーボードを眺めてると
当時の日本IBMのエンジニアはキーボードについて相当なこだわりというものを持っていたであろう事がシシヒシと感じられます。
5576キーボードで取り上げた Ctrl
キー位置のキートップの高さとか、最前列スペースバー周りのシリンドリカルを止めた逆傾斜は既に
5556
キーボードで確立されたデザインであったのです。
加えてこのキ−ボードはどういう意図があるのかわかりませんが、カーソルキー上の
6個
のキーは下のカーソルキーと同じ形状のキートップを使用しており何故か高さが
両隣と異なり、単なる階段状の配置でやや平板なキーレイアウトとなっています。
何がしかの意図があったのでしょうけど.....一体なんだろう
?
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[次ぺージ]、[挿入]キー列が右隣の数字キー部分の高さとかなり異なることがわかります。 |
キーレイアウト ( こちらをクリックすると
中央部分の拡大画像が表示されます )
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キーレイアウトは 後の
5576-001 とほぼ同じです。
拡張FUNCTION KEY部分は 1型 はTOP
COVER 上に PF1 〜 PF12 が印字されています。 4473178
には盤面 PFキーの印字はありません。 |
実を言いますと 今回 5556
キーボードを購入した最大の目的は、
キータッチを実際に確認してみたいという事はもとより、あわよくば
コントローラー基板を5576-001のそれと交換してみるということだったのですが、残念ながら本品の場合、コントローラー部はスイッチマトリックス基板と一体となっており、コントローラー部のみを切り離すことは出来ません。
両者でキーレイアウトが酷似しているのですから、コントローラーチップ丸ごと入れ替えればなんとかなるのではないかと思ったのですがそこまでやるのはけっこうな労力をようするようです。
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画像はいずれも4773178ですが、基本的に変わりません。
左画像の縦と横配置の2つ CHIP の間に見える
5連のDIP SWITHの初期値が両者で異なります。
4773313 all off
4773178 on-on-off-off-off |
ここはまっとうに 孫の手本舗さん
のようにキーボード信号を解析してワンチップマイコンで変換機を自作するしかないのでしょう。
そういう才能・技量が無いことがほんとに悔やまれます。
ロゴ
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同時代の US IBM PC/AT 84 に比べて
ロゴがいかにも安っぽいのが残念ですが、
白軸採用の 5962851 ( 爪足用のノブ耳無しタイプ
)などはアルミ角ロゴプレートを奢られているようです。 |
ALPS角軸タイプの場合の一般的な鉄板+基板の構成ですが、
5576-001/002 でいうと後期型に近い形式といえます。
(この部分は画像を撮り忘れました m(_ _)m )
いずれ後日 暇が出来たら....
ツメ足
ケーブル取り出し
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このあたりは一般のATキーボード風のつくりになっており、
モデルM や後の 5576
と異なり、着脱式ではありません。
設置の際、後方に必要以上に場所を取らないような設計で、PC/AT
84 のそれを改善したものと思われます。 |
上下ボディの取り付け
あれ? と思われた方は鋭い ^^)
鍵盤午訪斎 の Silent Parner BIOS 84 Key 、あるいは
SORD
KB-J31JX の ボトムカバーの止め方と同じです。
両者は ツメが E字
になっており、こちらは切り込みが無いという違いはありますが
ネジ止め部はそっくり。
ALPS謹製であることを物語っています。
底面ラベル
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FCC ID はありません。 |
デザイン的には
日本IBMの独自性というものは薄く、スイッチも
PC/AT84の完成された Buckling + 静電容量方式
に比べると、あまた溢れるALPSスイッチ採用の互換キーボードに決定的に差をつけるような点は見受けられませんが全体として
超高級ビジネス用途コンピューターの専用品にふさわしくコストをケチらずに造り上げた「高級品」といえるものです。
20年近くを経た本品の
表カバー、キートップいずれもがスリ傷は別として黄バミはほとんど見られません(
ツメ足の裏側はひどく変色している)。
BODY下部のごく簡単なリブとスイッチ取り付けの分厚い金属板とで充分な剛性を持つキーボードに仕上がっています。
この 5556 は IBMの次世代PC、
ワールドワイドな戦略商品の日本版としての
PS/55用鍵盤 5576-001 に(スイッチは異なりますが
)受け継がれていくことになるわけですが、001向けに新たに開発された
ALPS板バネも確かに素晴らしいものではありますが、
5556と同系統のノンクリックも同時に開発していたらと思わずにはいられません。
マルチステーション
5556専用キーボードいうと聞いただけで前近代的キーボード
のトップバッターと思われる方が多いと思いますが、確かにスキャンコードの違いから現在のPCでは使用できないとはいうものの、これは実に良いキーボードです。
すくなくとも
マルチステーションを趣味で運転しておられる方はこの素晴らしいキーボードを実際に使用する事ができるわけです。
5576-001は未だに生きながらえていますが、もしかするとどなたか奇特な方がこのキーボード用の変換機をこさえてくれることもあるのかもしれません。
今は残念ですがその日がくるまで大事にしまっておくことにします。
誰か作ってくだされ お願い!
へへへ ^^; PART
II
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