肝心のキーアクションはというと、
やや強めの押下圧で軸動作はスムース。 ただしキーボードに乗っかっているわけではないので実際の使用時の感触はわかりません。 無理にこじ開けようとしたときにネジ部分に曲がりが生じ、今回それをラジオペンチで修正したりしたため底部の取り付けが完全ではないこともあって底突き音はかなり大きく響いているがまともなスイッチがそうとは限らない。 BOTTOM OUTするあたりで 「
クッ 」 と
ごく軽めのタクタイル感があり、戻りの際にクリック音のようなものが聞こえるのですが、
この音が2ピース仕様の軸による意図的なものなのか、スイッチが単に古すぎることに加えて当方が壊しかけた結果なのか判断に迷います。
スイッチ本体の筒部分が割れかけていることと底部の取り付けが不十分であることが動作ならびに押し込み時の感触に大きく影響しているものと思われます。 しかし分解画像に見られる軸の2ピース構成が意図的なものならばタクタイル感あるいはクリック間を発生させるための工夫であったとも考えられます。 このスイッチを採用しているというATARIのキーボードが1982年発売という事を考えると IBM XT83キーボードが1981年の秋頃の登場で、ALPS
青のCMスイッチ(
DELL AT-101やOmnikeyに見られるスイッチ)は更に遅れて1985年頃の登場ですから、IBMのBuckling方式以外はまだ充分にクリック生成手法が確立していない頃なので リニア であってあたりまえですが、軸に細工をすることでタクタイル感を演出しようとした可能性は無きにしもあらずです。 指先にはごくごく軽い引っかかりと連打したときに僅かに聞こえる音から一旦はクリックではないかという見解でまとめたのですが、まともなスイッチをお持ちで
Deskthority wiki
の該当項目の編集に携った方に念のために確認しましたところ
「リニア以外の何物でもない」
とのお返事をいただきました。 NMB HITEKのナマステ合掌スイッチのクリックと同じでプラスチック同士の衝突音の先祖ではないかと思ったのは早合点だったようです。
軸小片と軸本体部分の配置具合を再度撮影しなおすためにもう一度分解してみたところ、ななんと「ある」と信じていたスプリング受けのラバーディスクが入っていないではありませんか。
撮りなおした軸と本体根元部分は以下の通り。
ラバーディスクがどこかに落ちていないかとデスク周辺の大捜索をいたしましたが分解から丸2日近く経過しているので見つかるわけはありません。 肝心の軸小片と軸本体の接合部は小片突起が本体壁に当たるにはクリアランスがありすぎて無理なように見えます。 加えて突起周辺にナイロンのようなチューブがセットされており上にも書いたように小片が振り子動作をするような造りにも思えなくもないのですが筒内の軸スライド用のガイドと小片の間の隙間はほとんど内に等しいので振り子動作はほぼ不可能と思われます。 また100歩譲って振り子動作をするとした場合、そのような軸の動きは軸の上下動の際の妨げにしかならず引っかかりの多い出来損ないのスイッチになってしまうでしょう。
とても不思議なので上記wikiに寄稿された方に 「軸内のスプリング受け部分のラバー小片をセットしないで組み上げて感触を確かめてくれ」と他人の迷惑顧みずにお願いしましたところ、これがやってくれたのですね〜。
軸内のスプリングがあたるところにセットされるラバー小片ですから普通に考えられるのは 1)
衝撃を抑える、2) スプリングの跳ねを押さえる、などのいわゆるダンパー効果です。 このラバーが無くなるともしかして....と思ったのですが残念ながら結果はまるで異なっておりまして、むしろラバー無しのほうが静かでかつバネ音も少ないという事でした。
(Wave file
でメール添付していただいたので聴いてみたところ確かにそのように聴こえます
)
ラバーの有無でリニア感触に関しては差が無いとなると 当方の黒色版にもラバー小片は入っていたが私が分解する際に不用意に落としてしまい、気がつかないまま作業を進めてしまったということになりそうです。 そして現在の怪しげなタクタイル感と擬似クリック音は筒部分の割れと痛めてしまった板バネの複合作用ということのようです。
ということで結局のところ Linear
Action に落ち着きました
しかし、 一体
何のために軸を複合構造にし小片に僅かではあるものの可動域を持たせるような細工を施したのでしょう。 FUTABAさんに聞くのが一番でしょうけど40年も前の製品ですから今更相手にしてもらえないでしょう。 1982年ごろの
ATARI
CX85 で使われているとのことです。 ( ATARIの
リンク先にはビンテージキーボードが鮮明画像でたくさんアップされてます。 もしかして知ってる方だったりして..)
ご存知の方がおられましたら軸の2ピース構造について解説をお待ちしております。
尚 TOPで紹介したDeskthority WIKI には同系列の 簡易リニア というものも掲載されており、
そちらのほうの軸は1ピース構造です。
2013. 02. 13 draft 00
2013. 02. 15 draft 01
2013. 02. 24 minor correction about deskthority wiki
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