FK-555
FOCUS Electronic 

FCC ID FSQ4VYFK-555
ALPS Mechanical Switch/Blue slider
Click/Tactile
AT connector
 

 

 

盤面は少し焼けが見受けられます。 
実際の色は緑がちょっと入ったグレー という感じです。

このキーボードの詳細は鍵盤午訪斎サイトでご確認ください。

当キーボードは盤面フロントのイメージはテンプレート部分は Omnikey 風ですが、それ以外は ALPS Big Foot系 を彷彿とさせるものがあります。 ところが裏面を見ると ツメ足、その後ろのケーブルガイド、鉄板による底面カバーなど Northgate Omnikey に非常に似通った要素がみられることは鍵盤午訪斎で紹介されている通りです。  ここでは 鍵盤午訪斎サイト系掲示板 での書き込み、当方入手品などとの比較によるこのキーボードの素性をまとめてみました。


ALPS社は1970年 TAIWAN に 福華電子 ( FORWARD )という合弁企業を興し、TAIWANでの電子機器の製造拠点としました。 当然 80年代から 2000年の合弁事業解消まで福華電子が TAIWANにおける ALPS スイッチの要であったわけです ( ただし80年末期から増大する需要に応えるため 福華電子周辺の企業でもALPS スイッチが造られたようです。 そしてそれらが コピー品がはびこるの温床ともなったのではないかと思われます )。   一方 FOCUS社(福克電子)は1981年に電子機器製造会社としてスタートし APPLE本体製造・APPLE キーボードの製造を手がけ, 1985年には PC/AT向けキーボード製造/販売事業に着手しています ( FOCUS社社史より )。  福克電子は APPLEキーボードの製造を通してALPS社=福華電子との交流はあったと考えられますが (APPLEキーボードでも 白軸の旧タイプリニアスイッチが使用されている ) 、福克電子が AT事業に乗り出すにあたって身近にあるALPSスイッチを採用する事はごく自然な流れです。 
前述の通り FK-555 は Northgate Omnikey シリーズと共通する要素が見受けられることから  Omnikey の製造元としては FOCUS社 が有力な候補として捉えることができるわけですが、 鍵盤午訪斎サイト 旧掲示板にataro415さんより氏が入手された Omnikey 102 GOLD ラベル品の FCC IDが FU44S2 KB-555 であり、そのラベルが FOCUS社 FK-555 と色が違うだけでそっくり同じである事が報告されました ( 関連記事はこちら

鍵盤午訪斎掲載品 FK-555
FCC ID; FSQ4VYFK-555
 掲示板で報告された Omnikey 102 
 FCC ID; FU44S2 KB-555

 

 

Omnikey ULTRA   当方の FK-555


メーカーコードの FU4 は "Standard Equipment & Funding Corporation" という会社で登録住所は Hollywood/USA 、キーボードの認証日は 1987年 6月2日となっています。  ラベルにある DBA が何を意味するかわかりませんが SEFCO COMPUTER PRODUCTS  のSEFCO はStandard Equipment & Funding Corporation の略称と思われます。  一方 FOCUS製 FK-555 の認証日は1987年 7月 2日 です。 FOCUS社と SE&F がどのような関係にあったかは不明ですが、この ラベルが酷似していること、いずれも同じ 555という番号で申請していることから、くだんの ゴ−ルドラベル Omnikey102の実際の製造元は FOCUS社であったのではないかと思われます。  Northgate社からキーボード製造を受注したのが SEFCO で、 SEFCO が更なる下請けとして FOCUS社に再委託したか、あるいは SEFCO自体が FOCUS の米国での事業参入への橋頭堡だったかいずれかと考えられます。


当方が入手した FK-555 はノーブランド品(ラベルが剥がされた可能性も否定できませんが )で 鍵盤午訪斎掲載品 と以下の点で異なりますが、更に Ominkey に近い要素も散見されます。

1. FUNCTION KEY 下およびLED パネルの配色が一部のOmnikey同様茶系 

トップ画像でおわかりのようにテンプレート部の帯色、およびLED周りが茶系で、102やULTRAなどの古いタイプと同じです。   ただし Omnikeyでも白色系のテンプレートもありますので茶系 = Omni という訳ではありません。

 

2. スペースバーのスタビライザーはOmnikeyと同様の通常タイプ

この方式はむしろ AT 系ではごく一般的ですのでOmniとの共通点としては根拠薄弱ではあります。   鍵盤午訪斎掲載品 がCherry方式であるという事はむしろ非常に珍しいものと考えられます。

尚、この画像でわかりますようにスイッチプレートの金属板は鍵盤午訪斎掲載品の黒塗装と異なり Omnikey同様塗装無しです。  黒塗装の方が錆には強そうですね。  

 

3.  FCC ラベルは黒インク 4. 角度調整用の裏面のスタンドはOmnikeyと同じで ゴムブーツ付き

 

 

5. キートップ配色がOmnikeyと同じで 赤を含む4色

 

 

6. Ctrl-Alt 並びに AT/XT切り替えSWは突起が扁平

以上 1. 2. 4. 5. の4点は更に Omnikey に似通ったものとなっています。   

基板上の REVなどを示す番号のシルク印刷はNorthgate ブランド品と同じです。 VER の後が反射で判読しづらですが  ”VER-1” です。


当初 私は FOCUS社自体が ALPS合弁会社の 福華電子 そのものか、あるいはその関連会社/下請け会社ではないかと考えたのですがそういうことではなかったようです。  当時のTaiwanのPC関連企業は競争相手であると同時にお互いが刺激しあい場合によっては「融通」しあう関係にあったのかもしれません。  FOCUS社自体もほかに ALPS SWを採用したAT用キーボードを製造していることもあり、FK-555 も同じ流れで(むしろこれが先駆といえますが )Big Foot系ALPSキーボードを模倣しつつ FK-555 をデザインし SE&F経由で Northgate社に納品したと言うことであろうと考えられます。  その後の Omnikey 102/101/ULTRA などは Northgate社との契約によりFCC認証登録も Northgate社名で行なわれたのではないでしょうか。 (同様のことは Keytronic -COMPAQ でも行なわれており、 FCC認証とは異なりますが NEC 98スイッチ の NECロゴについても実は A社製ではないかという見方もあるわけで....)
このあたりは 発注側と受注側の力関係でいかようにでもなるのだろうと思います。  日本IBMの 5576シリーズにしても 基板にALPS とは有っても表側には一切 ALPSを示す表示はみられません。 パーツとして基板、 SW その他を納品し IBMの指定工場で組み立てたのかもしれませんけど....。

 

というわけで Omnikey の ラベルに記された MADE IN TAIWAN の実製造元は たぶん FOCUS Electronic であろうというお話しでした。   

キーボードに限らずAT系の周辺機器はパーツの寄せ集めで成立っているようなものですから、 スイッチ製造メーカー、キートップ製造・ボディ成型業者、ラベル印刷業者、 などなど、それぞれの専業メーカー・工場に発注し、集まった部品を組み上げればキーボードが出来上がるわけであり、加えて組み立て工場も自前で持っている必要はありません。  製品設計 さえできれば工場を持たない会社であっても「自社製品」としてブチ挙げることは可能です。  従って Omnikey の製造元として「TAIWAN」のある企業を特定する事自体が意味の無い事かもしれません。 現に現在でも Northgate亡き後 Omnikey を引き継いだ Creative Vision Technology社が Omnikey 101/Ultra の後継機を Avant Prime/ Steller として販売しています。 


少しだけ当方入手の FK-555を....

キートップのヘソが異常にもろい !!
pingjingboさんが 古いものはこの部分が折れてしまう事がある と注意されていたことでもあり、以前にOmnikey 102 白SW で1個やってしまったわけでして( その時は分解する事もあるまいと思い軸もろともエポキシでくっつけてしまいました)、今度はなんと1個どころか白色キーのみ都合 12個も折れてしまいました。 充分注意してやったにも拘わらずこういう結果ですから、これは「経年」という要素に加え プラスチックの材質がそもそもよろしくないのではないかと思われます。   今回は軸を抜き出して折れた部分を軸から抜き出し元のキートップにそれぞれエポキシで接着してみましたがはたして実用になるかどうか.....( ヘソの空洞部に何らかの補強剤を押し込むべきであったと終了後に気がつきました。 残念 )
尚、キートップ自体は FOCUS社の FK-2001 というキーボードのそれと寸分違わず同じ造りですので安全のために白色キーはそちらと入れ替えました。  ちなみにこのキートップも Omnikey のそれと酷似しています。

こんな具合に12個も折れてしまいました。  1個折れたところで止めない私もどうかしています。


ALPS Big Footの基板位置決めボスおよび上下筐体止めネジ受けボス の根元のもろさと並び (これは SILITEK製になると更に顕著です ) OMNIKEY  、FOCUS のキートップヘソのもろさは古キーボード愛好家にとっては悩みの種であります。    


FOCUS FK-555 は見方によっては ALPS製 Big Footのコピー品と言えなくもありません。 少なくとも外見上の意匠は Big Foot を模倣したという事は明らかです。 ご本家、コピーのいずれもがその後 米国において AT101系 あるいは Omnikey として 市場を席巻したのは ( のかな〜 ??? ) なかなか面白いものがあります。

 

TOP左側のラインとプレートは Omnikey 風  LED 周りの曲面は Omni に ALPS Big Foot をブレンドした感じ。

サイドフォルムは...撮り忘れました (Big Foot と同じ )

実はこれを書いているうちに、 ALPS キーボードで 鋼板底板仕様の古いタイプが存在していたのではないかという疑問が湧いてきました。  スタンド部分 をみてみますとどう見ても Big Foot の総プラスチック製の底板一体成型のスタンド枠とまるで同じです。   Northgate が敢えて安定性と質量増 を意図してプラ製下カバーを鋼板 + プラスタンドに複雑化したデザインで発注した (あるいは FOCUS が独自にそういうデザインをした ) と考えるより、古いALPS製キーボードで鋼板+プラスタンド部の製品がお手本として存在し、それを模倣した FK-555 のデザインがそのまま Omnikey に残り、一方本家は単純化して Big Foot の形状に変化したと考えるのが自然ではないかと思います。                              2004.04.20 記

 

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